BLOG 記事詳細

一覧

一般内科
健康診断
自費治療

記事詳細

健康診断

法律で定められた健康診断(法定健診)の意義について

2016年03月09日

今までは内科外来における内容を記載してきましたが、今回は健康診断領域の話をしたいと思います。

 

我が国日本においては、企業に対して雇用している従業員の方に法律で定められた健康診断を実施する義務が課せられております。

健康な方には面倒くさいだけと考えられている事も多いように思いますが、健康な人にとっては年1回唯一健康について考え、医師及び医療機関と接する機会となっているので、当院ではその機会を無駄なものとしてではなく予防及び早期発見の為の有意義なものとして活かしていきたいと考えています。

知っておけば予防あるいは早期発見ができたのにという例も少なからず見受けられるのも事実です。

 

法定で定められた健康診断(法定健診)は原則雇入時に行い、それ以降は年1回定期的に健康診断を行うこととなりますが、深夜業務や有害業務、海外赴任などが入ってくると年2回になったり、都度追加で健康診断が必要となったりします。

 

法律で定められた健康診断(法定健診)の内容はどのようなものとなっているか確認をしたいと思います。

①問診・身体検査

診察・問診・身体計測・血圧・視力・聴力

②血液検査

貧血:血色素量、赤血球数

肝臓:AST、ALT、γ-GTP

脂質:中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール

糖代謝:血糖

③尿検査

尿蛋白、尿糖

④心電図検査

⑤胸部X線

 

以上が法定で定められている健康診断の内容です。

雇入時及び定期健康診断において35歳の方、40歳以上の方は項目の省略が原則不可能です。

35歳を除く39歳以下の方の場合は、医師の判断において血液検査及び心電図の省略が可能となります。

 

それでは一つずつ項目の意義を見ていきたいと思います。

 

①問診・身体診察について

こちらでは基本的な患者さん情報を取得します。

既往歴や自覚症状、身体所見からの他覚症状などから疑わしい疾患が隠れていないかを確認します。

視力・聴力はその低下がないかを確認します。特に騒音が強い業務がある方は騒音性難聴となる可能性がある為ここでそのスクリーニングを行っています。騒音性難聴は一度なると回復しないので予防及び早期発見が重要です。

身体計測は主に身長体重から肥満の有無を確認し、いわゆるメタボリックシンドロームという生活習慣病のリスクがないかを見ています。

血圧もメタボリックシンドロームの項目のうちの一つですが、予防医療において特に重要な項目ですので高血圧症が疑われる場合は内科外来の受診が勧められます。

 

②血液検査

血液検査では主に4つの項目を見ています。

1.貧血の有無について

こちらは主に月経(生理)がある女性において意義が深いと考えられます。

頻度的には鉄欠乏性貧血が圧倒的に多く、必要に応じて内科外来で鉄剤の処方を行ったりします。

もちろん男性でも貧血となることはあり、鉄欠乏性貧血以外の原因もありますので注意が必要です。

2.肝臓の評価

肝臓は比較的血液検査で状態を評価しやすい臓器です。

AST、ALTは肝臓の細胞がダメージを受けて壊れている時に血中に出てくる酵素です。高い値が出ると何かしらの肝障害があると考えられます。原因としては、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎、薬剤性肝炎、自己免疫性肝炎など多岐に渡ります。

特にウイルス性肝炎の発見は重要で、長期で見て必ずと言っていいほど肝硬変及び肝癌を発症します。現在では治療法が発達し、除菌が可能となってきている時代なので、怪しい場合は内科外来で追加の検査を受けることを強くお勧めします。

脂肪肝も頻度が高いですが、こちらは減量以外の治療方法が現時点ではありません。こちらも放っておくと肝硬変や肝癌になることがある為、放っておくことは好ましくありません。内科外来で超音波検査を受け、脂肪肝が確実にありそうな場合は生活習慣を改めましょう。

γ-GTPは肝臓から出ている胆管という管が障害を受けると上がってくる酵素です。アルコールの摂取でも上がることが知られており、頻度的にはそれが一番多いです。禁酒をしてから再検査しても高い値を認める場合は内科外来で腹部超音波検査を受けることをお勧めします。

3.脂質異常症(高脂血症)の検査

脂質異常症は代表的な生活習慣病であり、予防医療において特に重要な疾患です。

中性脂肪は生活習慣の乱れで上がりやすく、高い場合は生活習慣の改善が必要と考えられます。食事の影響が検査結果に影響を及ぼすので、正確な結果を得たい場合は空腹時の採血とし、前日も節制をして頂く必要があります。

HDLコレステロールはいわゆる善玉コレステロールと言い、低い方が問題となります。その為高脂血症という病名はふさわしくなく、脂質異常症と改められたのです。HDLコレステロールを上げるのは困難ですが、適度な運動及び食生活の改善などを内科外来で指導致します。

LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロールと言い、高いと問題となります。脂質の検査の中では最も重要な項目で、高すぎる場合は薬物療法が必要となってくることがあります。治療の必要性については詳細な規定がある為、健康診断で高値を指摘された方は、内科外来でご相談下さい。

4.糖代謝

血糖の測定です。ずばり糖尿病の有無を調べています。

当然ですが食事の影響を受ける検査項目になりますので、正確な検査結果を得たい場合は空腹時(食後10−12時間後)に血液検査を行うことが必要です。

 

③尿検査

尿検査においては2つの項目を見ています。

一つは尿蛋白ですが、こちらは腎臓病の有無を調べています。腎臓に異常があると蛋白が漏れてくるので、異常を指摘されたら内科外来で相談をしましょう。

もう一つは尿糖を調べます。こちらもずばり糖尿病の有無を見ています。食事の影響をうける検査項目ですので、正確な結果を得たい場合は空腹時に検査を行う必要があります。

 

④心電図検査

言わずもがな心臓の状態を評価する検査です。

心電図が一番強みを発揮するのは不整脈の有無ですが、心筋梗塞の既往や心肥大の有無など以外に色々な事が分かります。

心臓の病気は生死に直結するものが多く、異常を指摘された方は内科外来で相談をしましょう。

 

⑤胸部X線

胸部のレントゲン撮影ですが、主には肺の異常を見ています。

一番重要なのは肺癌の有無です。可能性がある場合は精密検査が必要となります。

次に重要なのは結核の有無です。結核は空気感染を起こし、治療に長期間必要とする最もやっかいな感染症です。耐性菌で治らない場合などは法律によって一生病棟に幽閉されることも有り得ます。可能性を指摘された場合は、速やかに精密検査を受けることが本人にとっても社会にとっても重要です。

その他にも得られる情報はありますが、主に上記2点がとても重要な為、健康診断では原則省略が認められていません。

被爆を心配される方がいますが、胸部撮影での被曝量では健康に害を及ぼすことはないとされています。

妊婦の方でも影響はないとされていますが、気持ちの問題的に避けられる方が多いように思います。

 

以上、法律で定められた健康診断(法定健診)について説明をさせて頂きました。

いずれも重要な内容ですが、実はこれだけでは病気の早期発見・予防においては必ずしも十分とは言えません。

今後は法定健診ではカバーしきれていない内容についてご紹介していきたいと思います。

 

大阪・梅田のクリニック|内科・健康診断

JOH&PARTNERS UMEDA CLINIC

06-6147-8136

人気の記事TOP5

あわせて読みたい記事