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糖尿病について④

2016年04月21日

健康診断で重要視すべき疾患として生活習慣病を取り上げる中、過去3回に渡って糖尿病について記載をしてきました。

単一診療科として糖尿病科が成立するだけのことがあり、記載すべき内容が多く今回で4回目となっています。

残すは薬物療法についてですが、この件についてはあまり詳しく記載したところで、一般の方が知っておくべき範囲を大きく超えてしまう可能性が高いかと思います。なので内容自体は簡単にまとめて、今回は糖尿病の治療の発展と将来展望などに重きをおいて記載していきたいと思います。

 

糖尿病治療において最初にお伝えしなければならないことがあります。

それは、糖尿病(特に2型糖尿病)は生活習慣病であり、自身の責任管理において生活習慣を改善させない限り際限なく悪化していく病気であるということを認識して貰う必要があります。

もう少しわかりやすく伝えると、悪くなったら薬を調整してもらえば良いという発想を最初に持ってしまうと、もうその時点でどうにもならないということです。

なので、理想的には最初は教育入院をされることが望ましいと考えています。現実的には働かれている方は難しいので教育入院を行うことは少ないかもしれませんが、それくらい悪化した糖尿病は大事になるということを覚えてもらいたいのです。

また、糖尿病治療の基本はインスリン療法です。それも毎食前+就寝前の1日4回のインスリン強化療法が基本と考えます。

インスリンが注射製剤である為悪いイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、そんなことはなくインスリンが基本と思ってもらった方が良いです。

生活習慣を改善したうえでインスリンを使用していれば、いずれ内服だけで十分という状態になることもよくある話で、そういう意味では生活習慣の改善なくして糖尿病の治療は成り立たないとも言えます。

 

その上で治療方法に関するお話をして行きたいと思います。

糖尿病の治療薬は主に3つの治療戦略に分類されると考えられます。

1.インスリンを増やす方法

・SU剤

・グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)

・DPP4阻害薬

・インスリン注射

・GLP-1注射製剤

2.インスリン抵抗性を改善する方法

・ビグアナイド薬

・チアゾリジン薬

3.糖の吸収阻害・排泄促進をする方法

・αグリコシダーゼ阻害薬(吸収阻害)

・SGLT2阻害薬(排泄促進)

上記の中から糖尿病の病態や程度、合併症の有無などを考慮して治療方法を選択していくことになります。

 

私が医師になった頃にはDPP4阻害薬、GLP-1製剤、SGLT2阻害薬というものは存在しませんでした。

いずれも現在の糖尿病治療においては重要な役割を果たしており、いかに治療が進歩しているかが分かります。

特にDPP4阻害薬及びGLP-1製剤はインクレチンというホルモンを利用した製剤であり、インクレチン製剤とも言われておりとても大きな発見でありました。

GLP-1とはインクレチンのうちの一つであり、DPP4とはインクレチンを分解する酵素のことです。

インクレチンとは食物が消化管を通る際に分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を促進するものです。

同じ糖分を摂取するにしても口から食べて消化管から吸収するのと、注射で静脈から投与するのとでは血糖の下がり方が違うということです。この事自体は古くから知られており、その現象の原因としてインクレチンというものが最近発見されたということです。

インクレチン製剤の良い所は血糖が高い時にだけインスリン分泌を増進させる為、低血糖となることが少ないと言われています。

また、SU剤やグリニド薬などは継続して使用することでインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を疲弊させると言われていますが、インクレチン製剤は逆にβ細胞を保護する作用があると言われています。

さらには、通常インスリンを投与すると細胞内に糖分を吸収する為に肥満の方向に働くと考えられていますが、インクレチン製剤、特にGLP-1製剤は食欲を減少させる作用があり、逆に体重減少の方向に働くと言われています。

上記3点からインクレチン製剤は既存の治療方法に比してまるで夢の様な魔法の薬と言えるくらい優れていると考えられます。

DPP4阻害薬が発売間もなくあっという間にSU剤に置き換わったことも頷けます。

 

インクレチン製剤やSGLT2阻害薬が発売されたのはここ数年の話ですが、まだ新しい薬の発売が控えていると言われています。

薬ではないですが、膵島移植という治療方法も行われ始めています。インスリンを分泌する膵臓のβ細胞を移植するという治療方法です。

また、iPS細胞を用いてβ細胞を再生するという話も研究がされています。

上記が実現されれば、インスリン不足による糖尿病というものはこの世から無くなってしまうかもしれません。

私の恩師である中尾一和先生がよくこの話をされていたのをよく思い出します。

数十年後には糖尿病という病気はなくなるだろうと。血糖をコントロールする方法は次から次へと開発され、血糖値の異常というものはなくなるが、そういった中で食生活の改善が見られなければ、肥満症が問題となる時代が来るだろうと。肥満症が増えれば、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、脂肪肝、関節障害、月経異常などその他の疾患が問題となってくると。

かつて結核専門医というものが数多くいたが、抗生物質の開発により、多くの結核専門医というものが不要となる時代となったが、糖尿病においても同じようなことが起こりうると。

大変興味深い話でありましたが、当時はまだまだ先のことかと感じていましたが、現在ではあながちそう遠い話でもないかもしれないと考えます。

 

糖尿病治療は主に血糖値のコントロールでありますが、それだけではないと考えています。

生活習慣病として臓器横断で診療を行うべき時代が来ていると感じています。

 

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