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実は難しい虫垂炎の診断について

2016年02月29日

虫垂炎という病名は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

虫垂炎でピンと来ない方も盲腸(もうちょう)と聞けばピンとくるのではないでしょうか。

先日当院の内科外来に典型的な虫垂炎の方がいらっしゃったので、今回は虫垂炎について記載したいと思います。

 

虫垂炎は腹痛を来す代表的疾患であり、頻度もそれなりに高く手術となることがある為か一般の方にも広く知られている疾患です。

馴染みがある病名であり、簡単な手術でよくなることから、診断も治療も簡単な病気となんとなく思われていることが多いように思われます。

しかしながら、よく知られている疾患であるからといって、虫垂炎は簡単な疾患では全くありません。

 

 

虫垂炎の診断は、広く思われているように簡単ではありません。

一般的なイメージとしては右下腹部が痛み、お腹を押した時よりも離した時の方が痛い(専門用語で反跳痛という)とされていますが、これだけでは虫垂炎を見逃すこともあれば、間違って診断を下すことも多いです。

医師でも右下腹部痛、反跳痛だけで虫垂炎と診断をしている者もいるようですが、話はそんなに簡単ではありません。

 

以下に典型的な虫垂炎の症状を記載致します。

まず食欲低下から始まり、みぞおちやへそ周囲が徐々に痛くなってきます。

その後吐き気や嘔吐を伴なうことが多く、最初はみぞおちやへそ周囲が痛かったのが、徐々に右下腹部痛に痛みが集まってくるような痛みの移動を伴います。

その後体温を測定してみると37度台の微熱を認めていることが多いです。

身体診察を行うと右下腹部に限局した痛みがあり、典型的には押した時よりも離した時に痛みがあるとされています。

血液検査を行うと、白血球数が増加しており、中でも好中球という白血球が増加しているというものです。

 

これだけ典型的であればまず虫垂炎と考えます。

確定診断は腹部超音波検査で虫垂炎の所見を捕まえるか、造影CTという薬剤を点滴しながらの輪切りの写真撮影で虫垂炎の所見を捕まえることになります。

超音波は害がないという利点がありますが、腸管ガスなどが邪魔をして、必ず虫垂炎の所見を捕まえられるわけではないのが難点です。要は見つかれば間違いはないが、見つからなかったからといって虫垂炎ではないとは言えない訳です。

造影CTは感度も高く信頼性が高い検査ですが、点滴の薬剤の副作用や被爆というデメリットがあるので闇雲に行うわけにはいきません。

いずれにせよ問診や身体診察が大事ということになります。

どちらかの画像診断で確定診断がつけば、あるいは確定診断がつかなくても疑わしい場合は、外科の先生に紹介して手術を行うかどうかを相談することになります。

 

こうやって書くと簡単そうに見えますが、実際の患者さんはこんなに情報を整理して症状を訴えてくれません。

先日当院にいらっしゃった患者さんは、頭痛、吐き気とお腹がなんとなく痛いという症状でいらっしゃいました。腹痛は3番目のおまけみたいな感じの言い方です。右下腹部痛などは一言も言わないですし、2日前に下痢があったなどと、感染性胃腸炎を疑わせてしまうような情報が出てきたりもします。

若い女性であり、吐き気、腹痛から怖い病気としては虫垂炎があるかもしれないとピンポイントで疑うことで初めて上記のような整理された病歴を聞き取ることができるのです。

 

虫垂炎の診断が難しいという象徴的エピソードとして面白いものがあるのでご紹介します。

今でこそ画像診断技術が向上しているので正診率は向上していますが、昔はそうでも無かった為いわゆる誤診というものが結構な頻度でありました。

誤診とは虫垂炎ではないのに虫垂炎として診断をしてしまったものと、虫垂炎なのに見逃してしまったものと両方があります。

そこで優秀な外科医の虫垂炎の正診率(虫垂炎と診断して手術したら本当に虫垂炎であった確率)はどれくらいなのか?というものです。

一般の方は100%とお答えになるかもしれませんが、答えは80−85%と言われていました。これは診断技術が進歩した現在でも一定の誤診率が必要と考えられています。

なぜ間違う方が良いのかというと、本当の虫垂炎しか手術したことのない外科医は必ずたくさんの虫垂炎を見逃しているからだと言われています。

虫垂炎でない虫垂を切ってしまってもちょっとした傷が残るだけで済みますが、虫垂炎を見逃すと最悪命に関わることもあります。

それだけ虫垂炎は怖い病気なので、診断がはっきりするまで手術をためらうのが最善の策ではないという先の医師達のいましめが込められているのだと思います。

 

当院のいらした虫垂炎の患者さんは、大きな病院に紹介して入院となり先日無事に退院されたそうです。

重症化する前に受診をされたので、治療期間も短く済んだようです。

腹痛など体調不良がある方はお早めにご相談下さい。

 

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